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販売部という部署をひと言でいえば、編集者が心を込めて作った一冊を、いかにしてひとりでも多くの読者の方に届けることができるか、という力量が問われる部署。当社で発行している幅広いジャンルの本一点一点をどう売り伸ばしていくか、ということが求められる部署です。限られたジャンルの本だけを出している出版社ではないので、部員には大変な部分も多いと思いますが、メンバーひとりひとりがそうした意識を共有しつつ、書店さんや取次さんにさまざまな提案を行っていくことが、基本的な業務となります。 そこで大切となるのが、まず最初に読者を知ることです。最終的にお金を出して買ってくださる方々なわけですから、何より読み手の皆さんに満足していただけることを大事にしないといけません。次に書店、そして取次を知ること。書店さんや取次さんと親密にやっていくことも重要な要素のひとつです。営業部門ではありますが、出版社の販売部と書店と取次は、みなほぼ同じ立場で仕事をしています。上も下もなく、一緒に業界を盛り上げていこう、という雰囲気は出版界独特のもの。特に今は書店の数が年々減少し、業界として正直、苦しくなってきている部分もあります。それだけに書店さんとのコミュニケーションを、より大事にしていかなくてはなりません。加えて社内でのコミュニケーション。販売部は最終ユーザーといちばん近いところでつながっているため、どこよりも読者に近い情報が集まってきます。各編集部とそうした情報を共有し、協力しあうことで、より有効な施策を打つことができるようになります。 さらに販売部の仕事の特徴をお話ししますと、まず編集部門に比べて、日常の中での管理業務の比重が高いところがあげられます。当社は毎年、雑誌含め年間400点を超える刊行物を出しているわけで、重版なども含めるとさらに取扱い点数は増えていきます。それだけに毎日、数多くのお問い合わせ電話を受けたり、注文の伝票をまとめたり…。そうした諸々のことを、他の仕事をしながらきちんと管理していかなくてはなりません。そこはやはり販売部ならではの苦労といえるでしょうね。 逆に販売部ならではの喜びを味わえるのは、「これは売れるよね!」と確信した本をプッシュして、実際にその本が売れていくのを目の当たりにできたとき。また、提案した販売施策がハマって、実際の売上げに結びつくことで書店さんからお礼を言われたとき。書店さんを通じて読者の方の喜びの声が聞けたとき。これらのことを実現できたときには、他では得難い充実感があると思います。 今後の販売部については、長期的に売れるしっかりした商品を今まで以上に大事にしていきたいですね。今の出版業界の状況下では、ドンと大部数を刷って、バッとばらまくといった過去の販売手法は通用しません。付録を付けて部数を伸ばす方策もタイミング次第では効果的だと思いますが、基本的には読者のニーズにしっかりと応えられる、内容の充実した本を売っていくことを大事にしていきたい。そのための鍵となるのは、何より情報収集力ですね。たとえば、書店さんの同じ棚に並べられている同ジャンルの雑誌があって、他社のものばかり売れているような状況がないか、当社ではうまくそのジャンルの本が売れているのか、といった研究が大切。そうしたことを料理のジャンルなり、アニメのジャンルなり、当社の刊行物一点一点に対してきちんと見ていく、ということです。そのうえで書店さんを通じて読者の方の声をしっかり拾い、きちんと商品の提案に結び付けていくことが生命線になってくるでしょう。 それだけに、部内での横の情報交換は不可欠。部のチームワークは非常に重要です。おのおのが自分の考えをきちんと持ちつつも、部全体で同じ方向を向いて、やるべき時には一丸となって動くことが求められるわけですから。今、部内の雰囲気はとてもいいと思います。部員は個性的な面々ばかりですが、みなノリもよく、ギスギスした雰囲気もありません。部内で飲みに行くと、話が盛り上がるあまりつい声が大きくなって、隣の席から「うるさい!」と苦情を言われるほど(笑)。このメンバーで、今以上に会社の潜在力を上げていきたいと考えています。 結局のところ、私は販売部員の大切な資質として、“考える営業”“情報に強い営業”の2点が何より重要だと考えています。個々人が情報収集をいかにして、それを自分なりにかみ砕いて販売提案まで持っていくことができるのか。逆に言えば、“指示待ち人間”や“行き当たりばったり人間”は不要です。何かあったとき、15秒でも自分で考えればいいのに、すぐ上司に結論を求めてしまう。確かにそれはラクなんですよ。自分できちんと考えて自分なりの結論を出すとなると、最初は苦労するでしょう。でも、それができないと結局はダメなんです。書店さんや取次さんといったお客さんと対等に話ができなくなってしまいますから。その場で「そうですか、そうですか」と話を聞いて帰ってくるだけで、ただのメッセンジャーで終わってしまうわけです。お客さんと仕事の話をして、その場で考えて、何らかの結論を出してくる。そういう人は評価していきたいし、たとえそれが多少間違えていると感じても、そのまま頑張らせてあげたい、と考えています。 あとは明るさと思いやりを持っていること。少数精鋭でやっている部署ですから、そういう人でないとチームワークを保って一緒に仕事ができません。会社の力を上げる唯一の方策は、“自発的に動き、考え、仲間と協力ができる人”が、個々の能力をきちんと発揮していくことだと信じています。そういう方とは、ぜひ一緒に販売部で仕事をしていきたいですね。そのときが来るのを楽しみにしています。 |
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