INTERVIEW 役員・所属長インタビュー 主婦と生活社がしていること

広がり続ける次元を超えたビジネス。

求む、情熱とチャレンジ精神!

編集第6部長

春名 衛

Haruna Mamoru

女性向け専門のアニメ誌として 業界にもポジションを確立。そして小説、コミックも

2012年に立ち上がったPASH!編集部は、2022年・春から月刊アニメ誌「PASH!」を中心としたPASH!編集部と、PASH!から派生して生まれたラノベ・コミックスを扱う文芸・コミック編集部の2つに分かれました。現在はこの2部署を統括する編集部長をしています。まずは、「PASH!グループ」の大元となった、月刊「PASH!」からご説明します。
「PASH!」は、業界初の女性向けアニメ雑誌(ムック)として、2004年9月に誕生しました。その後、不定期で9冊発行したあと、2007年4月から隔月発行。2012年6月から月刊雑誌として発行しています。
「PASH!」創刊以前は、女性読者に限定したアニメ雑誌がなく、女性達は男子向けアニメや萌え系のアニメなどが一緒になっているアニメ総合誌を購読していました。週刊誌やファッション誌にも男性向け、女性向けがあるように、アニメ雑誌にも女性専用があってもいいのではないか。コミケにも多くの女性が参加していることもあり、「絶対にニーズがあるはず!」との確信のもと、スタートしました。
編集方針はシンプルに“女性向け”。女の子が好きそうなコンテンツ、男性キャラクターをそろえて、女性が好きそうなお遊び企画を入れるなど、隅から隅まで完全に女性向けに特化しているところです。最初の発行から約19年が経ち、最近は版権元様からも、「PASH!さんだからぜひ!」とか「PASH!さんなら、こんな絵柄ですよね」といったようなオファーもいただけるようになりました。
文芸・コミック編集部は上記の通り、PASH!編集部から派生した部署で、主に「PASH!ブックス」「PASH!コミックス」「PASH!文庫」の発行をしています。旧PASH!編集部を自社コンテンツを生み出す組織にしていく構想は立ち上げ時点よりありました。外部スタッフの力も借りながら、いろいろチャレンジをしてきたのですが、投稿サイト「小説家になろう」から多くの人気小説が生まれている状況を見て、フィクション分野に本格参入。2015年「PASH!ブックス」シリーズ第1号「転生したので次こそは幸せな人生を掴んでみせましょう」を発売。出版後、即重版するなど好調な売り上げを記録。続いて「くま クマ 熊 ベアー」も人気作となり、以降、継続的に「PASH!ブックス」の出版を続けています。
小説を発行するとなると、やはり次はコミックスです。それまで、「PASH!コミックス」として、いくつか不定期に発行してきたのですが、2018年、PASH!ブックスのヒット作「くま クマ 熊 ベアー」のコミカライズを皮切りに、閲覧無料の漫画サイト「コミックPASH!」を開設。単行本コミックスもスタートさせ、新生「PASH!コミックス」のシリーズが始まりました。
その後「くまクマ」がアニメ化されるなど、順調に業務を拡大。月刊PASH!と同じ編集部内で運営してきたのですが、さらなる発展を目指して、一つの編集部として独立。2023年2月には弊社初のラノベ文芸文庫「PASH!文庫」を創刊するなど、コンテンツを拡大しています。

通勤中の電車の中でも 常に注目の作品をチェック

雑誌「PASH!」の編集長をやっておりましたので、「もともとアニメ好きで、たくさん観ていたんですか?」とよく聞かれますが、実はまったくそうではありませんでした。小学生くらいのころは「ヤマト」や「999」、「ガンダム」などを観ていましたが、中高生になるとアニメは「タッチ」やジブリ映画を観ていた程度。入社後も芸能雑誌のジュノンや音楽雑誌を担当してきましたので、全く基礎知識がありませんでした。なので、アニメ誌の担当になってからは、 “ネイティブのアニメ好き”な人たちにできるだけ近づけるよう、まるで語学留学のように浴びるようにアニメを観続ける毎日。いまでも通勤中の電車の中ではスマホでアニメ番組を観るのが習慣になっています。ただ、アニメという世界には疎かったのですが、それまで、女性向け雑誌を作り続けてきましたので、「女性向け」のアニメ雑誌という意味では、それまでの経験が活かせていたのかもしれません。
アニメ誌担当のころは、とにかくアニメになる作品の情報はできるだけ早く入手して、シナリオをチェックしたり、原作を先読みすることも大事な日課でした。アニメ化される作品が多い「週刊少年ジャンプ」も、すっかり中年になった30代後半になってはじめて毎週購読するようになりました(笑)。

社内でも新しいことに積極的にチャレンジしている編集部

現在、PASH!編集部には6名、文芸・コミック編集部には10名のスタッフが在籍。両編集部とも20代~30代の若手スタッフが多いこともあり、編集部員同士のコミュニケーションが取りやすく、仕事の相談なども気軽にできる環境かな、と思います。もしかしたら、社内でいちばんおしゃべりしている編集部かもしれません。他部署のアニメ好き、漫画好きな人たちも、雑談をしにやってくるくらいです。部員同士の雑談、外部の方たちとの会話の中から、新しい企画が生まれたり、新たな方向性が見つかったりすることもありますので、そういう場をできるだけ大切にしたいと思っています。
ただ、現在は新型コロナウイルスの影響もありテレワークのスタッフも多いのですが、Slackなどを活用しながら、部員同士のコミュニケーションが活発に行われるようにしています。
2つの編集部はともに常に新しいことに積極的にチャレンジしており、PASH!編集部は、基本月刊誌の編集部ですが、本誌の編集作業以外にも、WEBサイト「PASH! PLUS」の運営、アニメ&ゲームの別冊、声優写真集、プロ野球ファン向けムックなど、多方面にビジネスを拡大しており、多くの取引先、関係スタッフと協働しながら仕事を進めています。
文芸・コミック編集部では、「くま クマ 熊 ベアー」はじめ、自社コンテンツのアニメ制作に参加したり、弊社初の直営電子書籍サイト「PASH UP!」を運営するなど、小説&コミックスの編集部とはいっても、その業務は多岐にわたっています。

“アニメへの愛”以上に必要なもの

2次元を中心としたエンタメを扱う編集部ですので、やはり基本的なアニメやコミック、ネット系の情報に触れている方のほうが仕事はやりやすいかもしれません。今のスタッフは、幸いアニメ好き、コミック好きなスタッフが多く在籍していますので、逆に私のほうが教わることが多いくらいで本当に助かっています。ただ、上にも書いた通り、編集者とはいっても、その仕事の幅は編集作業にとどまらず、とても広くなっています。多くの社外スタッフや、版権元、著者との交渉もスムーズにこなさなければなりませんので、しっかりとしたコミュニケーション能力も必要となります。ただ「アニメが好き」「コミックが好き」「ラノベが好き」というだけではこなせないかもしれません。
アニメやコミックの豊富な知識があるに越したことはありませんが、それ以上に、責任感、情熱、そしてチャレンジ精神が求められる編集部だと思います。もちろん、かつての私のようにアニメ、コミックにそれほど詳しくない方であっても、この分野が面白そう、私ならこうしたい!といった新鮮な感覚や発想で取り組んでいただける方も大歓迎です。編集部に新たな風を起こしてくれる方、ぜひお待ちしています!