INTERVIEW 役員・所属長インタビュー 主婦と生活社がしていること

想定外の事象が多いこれからの出版社に

必要なのは「機動力」。

デジタルコンテンツ事業部長

八代 善剛

Yashiro Yoshitake

出版社のビジネスは、紙プラスデジタルで多様化する

昨年秋、ラスベガスで行われたグローバルな雑誌ビジネスのコングレスに参加し、そこである種の衝撃を受けました。雑誌はそのブランドを利用し、紙の売上げ以外にもさまざまな収益を探さなくてはいけない。データを集め、データを活用し、ロイヤルティの高い読者を相手にビジネスをするーー。その方向性はわかっていたつもりでしたが、やはりアメリカやイギリス、ドイツのパブリッシャーはかなり先を行っています。もちろん資本力は違いますし、デジタルに強い人材だって出版社には多くありませんが、だからといって動かないわけにはいかない。幸い、当社にはブランド力のある雑誌がかなりありますし、昨今はコミックのラインも充実しつつあります。もともと当社の取材力には定評があるので、足りない部分はデジタルに強いICT企業や、大手プラットフォーマーの力を借りてもいい、最近は同業出版社と協業しても面白いんじゃないかと感じるようになりました。
そしてその際に必要なのがやはりデジタルコンテンツ。大きなお金を出して作った刊行物をできるだけ利用しやすいカタチで確保しておく。この手助けになるような基盤作りが今から数年の当部署の課題であると感じています。

同時電子化率はほぼマックス、そしてこれから

ちなみに当社の同時電子化率は75%。といっても付録つきムックや家計簿、カレンダーなど、電子書籍化に向かないタイトルもかなりあるため、ほぼ上限に近いと思っています。紙と電子の同時発売については他社に比べても編集者の意識は高く、基本紙と同じタイミングで電子化の契約も結びます。一方で、毎年刊行タイトル数が減少し続けていることは悩みの種。電子化できる本自体が減ってしまうのはなかなか厳しい現実です。
そこで一昨年からはボーンデジタル、つまり最初から電子書籍で始めるタイトルを増やすべく各編集部といろいろ考えることにしました。雑誌連載をまとめたものはもちろん、パッシュブックスからもそういったタイトルが出てきており、売れ行き好評につき紙版を出すことになったという作品もあります。今年はそのための予算を多めにとることも会社に認めてもらうことになりました。今年はデジタルから攻めていく! そんな気分です。また読者の求めに応じて1冊ごとに紙の本を制作するというプリントオンデマンド本も電子書籍制作の副産物として力を入れていくつもりです。

考えながら動き出そう

ところで2019年の部署目標は、前年実績を上回ることと控えめでした。当部署の利益の半分以上を占めるdマガジンなどの雑誌読み放題サービスが踊り場を迎えており、収益はさほど伸びないであろうと考えていたのですが、結果としては大幅上昇で着地しました。この要因は前述のパッシュブックスとパッシュコミックスというラノベ&コミックス。当社としては新しいチャレンジングな分野ですが、すでにデジタル版が紙版の売上を上回って推移しており、ことコミックにおいてはすでにデジタルネイティブなユーザーが違和感なくスマホやタブレットでコンテンツを楽しんでいる証拠と言えます。たった2年でここまで伸びるとは本当に想定外。でもこのような事象こそデジタルの世界では当たり前なのだと感じました。これから「くまクマ熊ベアー」のアニメ化の予定もあり、これに向けた複数のプロジェクトも各部署と一緒に進めています。

さあ出版社に必要なのは「機動力」。いますぐ動ける力をあなたは持っていますか。