漱石、太宰、芥川など文豪たちの名作の中から、忘れられつつあることばを拾い集め、それを包み込んでいる文学作品とともに分かりやすく解説しています。著者の佐藤勝先生は、麻布高校の教諭を経て、東京女子大の教授を長く務め、現在は帝京大学の名誉教授です。太宰治の「竹青」が教科書に採用されたさいのこぼれ話として、主人公・竹青のホステスのような話し方が教師の間では不評だったなど、教育現場における豊富な経験が盛り込まれ、年齢問わず楽しめる内容になっています。第1章 お洒落なことば 空音(夏目漱石「虞美人草」)、唐紅(夏目漱石「夢十夜」)ほか 第2章 ふんわり語感のいいことば すさび(森鴎外「妄想」)、心趣(太宰治「如是我聞」)ほか 第3章 カタカナではうまく言えないことば 居ずまい(有島武郎「生まれいづる悩み」)……第8章 色っぽいことば、艶のあることば 秋波(芥川龍之介「葱」)ほか