本書は日本を代表するレーシングドライバー、ガンさんこと黒澤元治氏が「ドライビングには理論がある」をモットーに、そのメカニズムに言及し、明確かつ厳格さをもってドライビングの本質を解明した本である。クルマをより速く、効率よく、安全に走らせるにはどうすればよいか。そのためには、クルマと、それを操るドライバーである人間、そしてドライビングそのもののメカニズムを解明する必要がある。どれほどの腕を持つドライバーであっても、人体に与えられた生理学的・解剖学的限界を超えてクルマを走らせることは不可能だし、どれほどの性能を有するマシンであっても、タイヤの摩擦円を外れて運動を行うことは絶対に不可能なのだ。ヒト・クルマ・タイヤ。認知・判断・操作。そして、その中に生まれ来るステアリング・インフォメーションと、不可避のタイムラグの補正。これらが、ドライビングの本質であり、ドライビング・メカニズムそのものなのである。これさえ完全にものにすることができれば、誰もが最速のドライバーになれる。本書で是非その理論を理解していただきたい。また日常運転にも1章を割き、より「安心」と「安全」を求められる一般公道でのドライビングについても詳しい解説を試みた。すべてのドライバーに読んでいただきたいドライビングの神髄をお伝えする一冊である。